乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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2010年 02月 19日 ( 1 )

むかし倒産した書店で、いっしょに働いていた女の子たちと会う。
倒産して、べつべつの勤務先で働くようになってからも、定期的に会っている。
わたしはその町を出てずいぶん経つけれど、彼女たちはまだ本屋のあった町に住んで、
その町で子どもを生んだり、二世帯住宅に迷ったりしている。

久しぶりに会って、なんかおもしろいことあった?と聞かれる。
おもしろいこと、たくさんある。
頭の中を圧力なべのおもりみたいなものが、しゅーしゅーくるくる回りだして、
おもしろいことを次々にピックアップするけれど、
そのどれもを話さないまま、笑う。
現在の書店業界がどれほどあいかわらずか、や、最近読んだ本がいかによかったか、や、
それもたしかに「おもしろいこと」なんだけど、たぶんいちばんに話したいことではない。
それでもそれはかなしいことではない。

いま、自分の身の回りにあることを、ひとつひとつ順をおって説明すれば、
まちがいなく彼女たちはわかってくれるだろう。
そうやってかつてはいっしょに働いて、いっしょに店がしまるのを見届けたのだ。
でもそれを話さないのは、彼女たちの知っている自分と、いまここに暮らしている自分が、
ほんのちょっとちがうからだ。
ほんのちょっとちがう自分を、ちがうままで走り回らせたい。
すべての円がまじわらなくてもいい。
彼女たちが知っているわたしは、彼女たちにあまえることを遠まわしにゆるされている。
ここではただ、その空気にあまえていたいと思うのだ。

だから彼女たちはこのブログのことも「わめぞ」のこともたぶん知らない。
畠中さんがヘーゲルに謝りたがっていたことも、
ここのところポッドキャストで、TBSラジオの「ストリーム」を聴いていることも知らない。
まじわらない円の内側で、さんざんあまえて頭をからっぽにして、また来月に、と別れて、
夜中、ひとりでもういちど「いちばん話したいこと」を考えてみた。
そうして、ぽつりと残ったのが、このことでした。

わめぞblogで連載させてもらっている「雑司が谷白想」4回目更新されました。
今回はこれまでとたぶんちょっとトーンがちがいます。
もしよかったら、読んでみてください。

わめぞblog「雑司が谷白想4」


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by mayukoism | 2010-02-19 02:58 | 言葉