乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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一日千キロ行ったり来たりでございます(『茄子』より)

朝の列車ははやい。
目をとじて、意識がとぶころ最寄り駅。
もう着いてしまったかあ、と知らないひとの背中を見ながらのろのろ階段を降りる。
棚ーをかたかた鳴らしつつー、きょーうも仕事であることよー(うたう)

帰りの列車はゆっくり。
土日だとすわれる。なるべくなにも考えないようにして、窓を見ている。
つやつやとした闇のうえに、向こう側のネオンとこちら側の蛍光灯が混在する。
棚ーをぱたぱたはたきつつー、あーすも仕事であることよー(くりかえし)

みちくさ市のあとのうちあげで、どさくさにまぎれていつのまにかNさんから借りていた
『茄子』(講談社アフタヌーンKC/黒田硫黄著)、まだ1巻目ですが、これ、
ものすごくおもしろい。タイトルどおり、なぜか茄子をめぐる連作短編。
あらすじを話しても、このよさは伝わらない。
ストーリーによりそうちょっとした動きや、台詞や、景色の絶妙なこまやかさと、
勢いのある太い線とのアンバランスなバランスがにくい。
コマのあいだに流れはなくて、ひとつひとつが絵のように詩のように完結している。
そこからなにかとくべつな呼吸を感じます。これはもうすべて意図的だと思う。
そしてその意図がどれもきいている。
「その8 ランチボックス」なんて、これはひとつの短編として、小説にしたって
完璧だろう。いや、でもこれは漫画だからいいのだけれど。このふたりは
2巻以降また出てきたりするのだろうか。出てくればいいのに。いずれにしても
このあとが愉しみ。
この作者はぜったいに短編の人だと思うのだけど、長編もおもしろいのかなあ。

もうひとつ借りもの。『読むので思う』(幻戯書房/荒川洋治著)。
読み途中。
ひらくとすぐにサインがあるので、読みはじめるたびいつもびくりとなる。
そして読みながら、もういてもたってもいられなくなる。
だいたい仕事の休憩中にドトールで読むのだけれど、その場で制服を脱ぎたくなる。
ああ、仕事なんて(?)してる場合じゃない、はやくはやくここに書かれているこの本を
見つけて読まないと、はたしていまの自分にとってそれ以上に大事なことなどあるだろうか、
(いや、ない)、と、はやるこころで、漢文訳のようにくりかえす。
と、さっき電話で貸主と興奮しながら会話する。電話ってものもいつまで経っても不思議だ。
どうして声がとどくのだ?そしてたぶんこのどうして、は理屈じゃない。電話の声も不思議。
そしてこういう面白い本が手元にあるときにかぎって、大きな仕事がかさなるのです。
くわしい感想は読了してから、後日。

 
 ためらいもなくはりつめる柿の実の簡潔な告白にうたれよ


おやすみなさい。
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by mayukoism | 2008-12-08 01:23 | 本のこと