乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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いつかの船出

いま、「山崎製パンが不二家を子会社化」というニュースのなかで、
ラジオのキャスターが、「「ペコちゃん」が「ヤマザキちゃん」、と
いうことになると、企業イメージはどうなるんでしょう」と話していたが、
十中八九「ヤマザキちゃん」はないと思う。

仕事をはやめに切りあげて、思いつきで「ヒナタ屋」。
おちついて考えたいことがあるときに、ときどきひとりで来る。
ひとりで入ることができて、なおかつ長居できるお店を、その町で
ひとつふたつは知っていたい。ひとりのときはお酒は飲まないから、
椅子についても、ご飯か甘味か、悩めるお店がいい。

考えごとをしながら、ときどき読書。
『波打ち際の蛍』(角川書店/島本理生著)
図書館本。
なるべく若い作家のものも読むことにしているけれど、いちいち買っていると
きりがないのでだいたい予約して借りるのだ。

ううむ、少女漫画だ。主人公がどんな状況におかれていても、守られている。
守っているのは作者で、これが作者の世界へのコミットの仕方なのだと思う。
でもこの方法はいずれ限界がくるだろう。あまりに世界が清潔すぎる。
この、穢れのなさに救われる人もいるかもしれないから、このやり方で
生き延びていければそれでいいのかもしれないけれども、個人的には、
こんなんじゃない、と思う。うつくしい傷は存在しない。

ただ、いわゆるカウンセリングやセラピーといったものについて、これは
いったいなんのための話し合いなのか、と問う主人公に、ぜんぶ含めて
それを判断している自分自身を信頼するためにある、というくだりは、
ああ、なるほど、と思った。

辛目のチキンカレーに満足して、「ヒナタ屋」を出る。
夜の橋から見るJR御茶ノ水駅は巨大な船のようだ。
蛍光灯の白さにぼやけたプラットホームが、神田川に揺れている。
「焼肉」、「中華料理」、「居酒屋」のネオンをいくつも屋根の上にのせて、
もう来ない人たちをじっと待っている。
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by mayukoism | 2008-11-08 00:05 | 生活