乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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twitter的短歌vol.1

いつかやろうと思っていたことを、今日やってみました。
わめぞblogに連載させていただいている「twitter的日常」より、備忘録的に短歌だけまとめました。
ほぼ自分用…なので、興味のない方まことに申し訳ない。
以前に詠んだ短歌もたぶん300首はあるので、いつかなんらかの形でまとめられればとは思います。

ちなみに1首だけ、「みてみせて」は以前に詠んだ歌なのですが、
なんとなくそのときの気分に合っていて、未発表歌だったので、掲載しました。

季節をおぼえています。
その歌を詠んだとき、どんな花が咲いていて、どんな色の空だったか。
では、よかったらどうぞ。

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【twitter的短歌】2011.8~2012.2



ホチキスが空を噛むとき手のひらにあの日の夜が生まれてしまう


もうどこも行かないし、もうどこからも帰らないよ、と言う蝉時雨


どこからかわからないけど口笛がきこえる 寝ずに会いにいきます


いつ死ぬかわからないから霊園の自販機で買うPEPSI NEX


櫛の背をあててわたしの中心はどこなのだろう 考えている


天気なら横断歩道の白線がきれいに見える曇天が好き


信号が青になるとき、まもられたままでもよかったなって思うの


わたくしの一部になってくださいと夜の水道水を飲みほす


寝るまぎわ見る星雲がありたぶん死んだらそこへ行くのだと思う


心という字の点々はいまにも飛ばされそう 八月だ


窓ぎわの歯ぶらし同じほうを向き可愛い嫉妬なんてないのよ


自転からはぐれてもいい、宇宙には番地はない、と傘をまわした


真夜中に炭酸を飲む 宇宙から見ればわたしも空なのだろう


いろはすの空のボトルをひねるとき忘れたことも思い出さない


雨水がながれこむのでそこだけが低いとわかる ゆるさないで


心臓を好きなリズムで鳴らせたらいいのに朝のあいさつとして


夜半から降る雨/////鳥と人とはどこで隔たれたのか


昨夜からいままで傘についていた水の気持ちを考えてみる


浴室の空気はまるい ほんとうも嘘もひとしい重さでしずむ


飲みかけのペットボトルの水面に小さなひとを泳がせてみる


いまはまだ書かれていない詩のために少女の白きハイソックスよ


転居先不明の手紙やぶられてひるがえるときあの大銀杏


ていねいにひだをそろえたスカートの数だけ夏が正しく終わる


空という字にふりがなをふる そら、とふってもあき、とふっても青い


夜中あなたのほどけた髪がこの町を流れる川の輪郭となる


空にした炊飯ジャーがいつまでもいつまでもあたたかいので泣こう


あこがれはうつくしくあってほしいから、わたしはだれにもあこがれない


家々の物干しざおはおしなべて斜めに/空と/きみとを/わかつ


親展の手紙に封をするようにあなたの肩の傷をおさえる


五線紙の音符をたしかめるように水平にとぶ蜻蛉を見ている


駅という駅をつなげて東京に星座をつくるきみが名づける


ふとふるえだす冷蔵庫のモーターはこわしたときのお腹の音だ


まぶたとはわたしのなかを夜にするスイッチそこにわたしはいない


朝の陽と夜のひかりが床上で碁盤のようにせめぎあう部屋


感じない、けど降っている雨 ある種のダメージとはたぶんこのようなもの


たちどまり目薬をさす人 ふいに舗道に生えた木のように見え


オリーブをちぎった指をちかづけて0時ちょうどのまばたきをする


スズカケの落葉に夕暮れがきていっせいに燃えあがる書皮たち


あざやかにパスタを巻いてきみは言う これがわたしの自転の速度


ランチタイムの終わりはすこしさみしいとだれも言わないけれど知ってる


泣いたってよかったのだろう手のひらの乳液がしみこんでゆく頬


気をぬくとわたし発光してしまうから頭まで湯舟にもぐる


信号がどこまで青に変わるかを、夜、国道のまん中で見る


ドトールの2階で異国の青年が「純愛」という言葉を習う


浴室のタイルの露の冷たさに触れ想像の惑星に行く


隣席の男女が語るご希望の間取りを手のひらに書いてみる


とじられたまぶたのゆるい曲線を集めてあなたの海面は凪ぐ


雪の日の坂道をゆく一歩ごと空に直立する詩のように


みてみせてみないでみての波よせてかえせばさっきとは違う海


言うつもりなんてなかった いまありとあらゆる窓で落ちゆく結露


電線に夜が流れるまっすぐに流れるその他のものも見ている


鋭角の光はわたしよりはやく階段を駆けおりる おはよう


スプーンはまわりつづけるteaという言葉が意味になるまでの間を


タクシーの空車の文字をやさしいと感じたら、もう、はやく眠ろう


死、にむかう身体をながれる時間とは朝なのだろうか夜なのだろうか



【将棋短歌、略して棋歌】惑星は軌道をそれてまっすぐに対角線をすべる角行


【棋歌】ひとりでも平気だと泣く王将を見まもる歩兵のしずかな呼吸


【棋歌】白線は踏まないルール ぎこちないスキップでゆく桂馬の背中


【棋歌】ゆっくりと背骨をなぞりあたたかな場所をさがしておりていく飛車


【棋歌】ひとつまたひとつ灯りを消してゆく夜明けのように銀をうごかす
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by mayukoism | 2012-03-10 03:30 | twitter的日常