乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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空の木

休日にスカイツリーを見に行く。
携帯電話で撮影したスカイツリーを待受画面に設定しているのだけど、
画面のスカイツリーが、電話をひらくたびに少しずつ伸びているような気がする。
ホイップしたような雲が、タワーのうしろを少しずつうごいているような気がする。
飽きないなあ、と眺めることにしている。

スカイツリーのふもとにある業平橋駅のそばに古本屋(※)があった。
すこし目をはなした隙に知人が本をかかえている。
なにも言っていないのに「これは仕入れだから」と言い訳めいたことを言う。
しかも二度言った。二度目はもうあいづちもうたず聞きながす。
わたしは目についた棚の本をめくる。

なにげなく手に取った青木玉『こぼれ種』(新潮文庫)をひらいて、あっと思った。
ここのところの散歩コースになっている雑司が谷霊園で、どうしても名前のわからない
花の咲く木があった。ほそながい花弁が放射状にひらいた白い花で、羽虫がむらがっていた。
こういうときに花から調べられる手ごろな図鑑がほしいと思っていたのだけれど、
あの花によく似た写真がそこにあった。キャプションに「クサギ」とあった。

『こぼれ種』には知人の故郷のアオソ畑も載っている。
思いをはせる故郷が自分にないので、他人の故郷にやたら反応してしまう。
けれども『こぼれ種』は買わなかった。
青木玉にも幸田文にも、言葉の底につねに「正しさ」が流れていて、「正しさ」には
正しく対峙しなくてはいけない、という気がしてしまう。
その強さがいまはないと思った。

そして「クサギ」をインターネットで調べてみて、「臭木」と書くことを知り、愕然とした。
葉をちぎるとカメムシのような、ピーナッツ(!)のようなくさいにおいがするので
そのように命名されたらしいのだが、あんまりではないか。
また、花は8月に咲くとあって、ううむ、と考えこんでいる。『こぼれ種』の写真は
まるでそっくりだったのだけれど、もしかしたら違うのかもしれない。

やっぱり買っておけばよかったかなあ。


※業平駅前書店
http://www.narihiraekimaeshoten.com/

※2009年4月に「古本屋ツアー・イン・ジャパン」さんがご来店されたときの記事
http://blogs.dion.ne.jp/tokusan/archives/8295319.html 





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by mayukoism | 2010-06-06 04:12 | 生活