乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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白米と夜

深夜に新米を炊く。

炊きあがった新米をほぐしながら、視覚を部屋の外の夜の中に置いてみる。

動きつづける明治通りをくだり、暗い窓の連なる路地をぬけて、

曲がり角にひとつだけうかぶ白い窓が見えたら、それがきっとこの部屋です。

生活のある部屋の明るさは、蒸気した新米の明るさ。

ひしめく新米の白さは、今日の月のあてどない白さ。

そう遠くないけれどまじわらない場所で、ひとりひとりが今日の月をさがして、見あげて、

吸い込まれたり遠回りしたりした。そしてたぶんもうねむりについている。

わたしは起きている。

起きて、小分けにした新米をラップにくるんでいる。

雨の音がする。

わたしの視覚はふたたび身体をはなれて、雨雲の向こうの今日の月をさがして、

電線をスタッカートでとびこえる。

目を見てちゃんと伝えられるように。

さようなら、夜。

さようなら、窓。

さようなら、今日の月。

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by mayukoism | 2009-12-03 04:01 | 言葉