乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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雨と木々

雨だからやめておこう、とおそらく多くの人が判断するであろう行為を、
雨の日にあえてするのが好きだ。

往来座とブックオフに、紙袋いっぱいの本を売りに行ったり、
鬼子母神をぴちゃぴちゃあるいたり、
買うか買うまいか迷っていた座椅子を買ってかかえてきたり、
小石川植物園に行って遭難しかけたり。

雨の日はきらいではない。
世界がうすぐらいので、自分の内側がよく見える。

けれど今日は、ほんとうは穴八幡に行こうと思っていたのだ。
早起きして。
目覚めのぼんやりした頭にすぐ、雨の音が聞こえた。
うどんをゆがいたり、お風呂の掃除をしながら、ときどき玄関の扉を開けてみたけれど、
雨は計算だかい女みたいに、つよくよわく降りつづいた。
古書現世のブログとツイッターで状況をたしかめた。
行きたかったな穴八幡、という気持ちをハンカチにそっとくるんで外に出る。

冒頭にもどる。

植物園は、広かった。
閉園1時間半前の15時に入園し、ちょうどいい頃合いでまわれるかしらと思ったら、
とんでもなかった。

温室のような施設を想像していたのだが、温室は園内のごく一部で、しかも15時で閉められており、
あとは森だったり林だったり巨木だったり茂みだったり丘だったり池だったりがあちこちに広がって、
と思うと、とつぜん日本庭園が目の前にひらけたりして、とにかくどこまでも果てしがないようにみえた。
雨がつよくなってきたころ、丘からぬけようと石段を降りていて、途中までは降りられるのに、
あとはぬかるんだ急な坂があるだけで、どうしても下界に出ることができず、
まちがった物語に迷いこんでしまったような気がした。

ふいに目の前にあらわれた杉の大木のうねった枝や、太い幹に圧倒され、その場から
はなれられなくなった。
畏怖、という言葉のことを思った。
雨が降っていたせいで、枝は黒々と曇天をさえぎり、根のはう地上には夜とはちがう暗闇があった。
のみこまれてしまうかもしれない、のみこまれるのはこわい、でもいっそのみこまれたい。
いまも、あの杉の木を思い出すとすこしこわい。

苔や川や、なにかしら自然にこだわりを持っている人というのがいて、
こだわりというほどのものではないけれど、自分にとってそれは木なのかもしれない。
街路樹の名は呼びながら歩くし、知らない木の名は気になる。
木のことをもう少し知りたくて、往来座の買取でいただいたお金をにぎりしめ、
ジュンク堂の、ふだんは行かない「自然科学」のコーナーで木の図鑑をながめた。

葉でわかる木の図鑑、というのがあって、葉の先が尖っているかまるいか、
葉脈がしっかりと浮き出ているかいないか、などで木の種類を見分けることができる。
爪の先などで跡をつけると、しばらくして茶色く跡が浮かび上がってくる葉というのがあって、
文字を書けばまさしく「葉書」になるのだった。
そんな葉と木の紹介が写真入りでたっぷり載っている。
もっとはやく買えばよかった。
これを持って、つぎは晴れた日に小石川へ行ってみよう、と思っている。

余談ですが、小石川植物園には入ってすぐ左手に「精子発見のソテツ」がこんもりと鎮座し、
ところどころ設置してある案内図には、すべてのある個所に「イチョウ(精子発見)」と示されている。
イチョウは時間がなくて見つけられなかった。
植物の精子発見についても、もうすこし知っておきたいところ。
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by mayukoism | 2009-10-03 03:05 | 生活