乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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身軽と気軽

身軽、と気軽、は、ひびきはたいそう似ているけれど、意味するところはことなる。
どちらかというと身軽になりたい。
気軽というのは、両面あってすこしあぶない。

迎え火から送り火まで、神保町の田村書店はお休みだけど、
小宮山書店のガレージセールはやっております。
昼休みにちょいとのつもりでのぞいたら、かかえこんでいた。
『風流尸解記』(金子光晴著/青娥書房刊)、の扉絵(写真)がすてきだ。
金子光晴のお孫さん、金子若葉作。
若いころの写真が格好よくて、『愛を旅する人へ』(はらたいら著/講談社刊)なども
おもわず購入し、袋はいいです、と言いつつ途方に暮れているところへ、
なんかいいのあった~、と、とつぜんNEGIさんが登場。
まちがった隠し扉から出てきてしまった忍者のような気持ち。
お知り合いに不幸があったとのことで喪服を着てらした。
不謹慎だとは思うのだが、黒い、細めのネクタイがぴりりときまっていた。

NEGIさんと手をふって別れたあと、建物のかげにしゃがんで本をしまう。
ぜんぜん身軽になれていない。

林芙美子を読む女性は、ひょっとしたらみな思うのだろうか。
ちょっと自分に似ている、と。
多分にもれずわたしも思った。
読みはじめたきっかけは、市川慎子(海月書林)さんの『おんな作家読本』で、
じつはいままで林芙美子を一冊も読んだことがなかった。
いまも『放浪記』は未読で、随筆しか読んでいないので語らないけれど、
高すぎる理想に日々の自分が追いつかなくて、ぐちぐちとしょうもない感じが、身につまされる。
けれども、そのしょうもなさも文章になると、芙美子の場合はどこかかろやかで、
読後もいやな印象はまったくない。そうよねえ、とうなずいていたりする。

『文藝別冊 総特集林芙美子』(河出書房新社)所収の「文学志望の娘」(木村徳三)がおもしろい。
改造社時代の『文藝』編集者で、芙美子の家に原稿をとりにいく話。
芙美子の持っている、ある「しょうもなさ」がとてもよく出ている。
岡本かの子、林芙美子、向田邦子、この3人がいまわたしの中でなんとなくつながっている。



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by mayukoism | 2009-08-15 04:11 | 本のこと