乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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5月22日

実家で飼っていた犬が亡くなってちょうど一年になる、ことをさっきまで忘れていた。
知人に言われて、思い出した。

犬なんて飼う予定はなかった。
ただ、そのころ臥せっていた家族を元気づけるために、父が買ってきたものだった。
犬の記憶と、病の記憶がともにある。
犬は、家の雰囲気というものを、ほんとうによく感じとる。
お世辞にも頭がいいとはいえなかったけれど、大変なときはおとなしかったし、
がんばらなきゃいけないときはいつもとちがう吠え方で吠えた。
その後、わたしは実家を出たので、家族の中ではいちばん会う回数が少なかった。
だからなのか帰ると、手持ちの荷物も巻いたマフラーも、ぐしゃぐしゃのべろんべろんにされて、
あそべあそべとあまえてきた。
大きい犬だったので、後ろ足で立つと同じくらいの背の高さになった。
それは、いままでにうけたどんな抱擁よりはげしかった。
散歩中に走ると、加減を知らないから全力疾走になった。
猫に出会うと背中のところがわかりやすくびくっとしていた。大きいのに気は小さかった。
年をとって、弱ってからがとてもとてもはやかった。
最期にそばにいることができなかった。

命日である、ことをすっかり忘れて、さきほどさがしものをしていたとき、
犬の、しっぽのところの毛が出てきた。
亡くなったときにお守りがわり、と言って持たされたものだった。
正直、そのことにすこし違和感はあったのだが、つきかえすこともないと思って、
もらっておいた。
机の中からでてきたそれを見て、たしかになにかがよぎったような気はしたのだ。
でもそれはあの違和感のことなのかと思っていた。
実際そうなのかもしれなかった。
わからないけれど、やっぱり今日は命日なのだった。

冷凍のカレーを何度も解凍して食べる。
暗くなった往来座の店先に、瀬戸さんが動いているのが見えた。
ストリングチーズをストリングしないで食べる。
余ったレモンティーをパックのままで飲みほす。
5月だというのになにかが終わっていくみたいに暑い。
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by mayukoism | 2009-05-22 01:41 | 生活