乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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ハプニングみたい

本日。正午。
神保町は田村書店の均一に、現代詩文庫が大量に出ていたので買い占めてしまう。
詩集をかかえて職場にもどり、そ知らぬ顔で研修をうける。
レポートを書いて、発表したりする。
終わったあと、レポートの言葉を頭のなかで、意味がなくなるまで解体してやる。

昨日。休日。
ひさびさに行ったことのない場所へ出かける計画。
月島に行くことにする。理由はない。
銀座まで地下鉄で行く。銀座からは缶ビールを飲みながら歩く。
缶ビールは晴れた空に似合うが、銀座の路上で缶ビールを飲んでいる人はいない。
川や海が近いのはすぐわかる。風や匂いだけではなく。
そう言うと、空がなににも遮られてないからね、という返事がかえってきて、
漠然と思っていたことを言葉でいわれ、景色がすとんと腑におちた。

もんじゃストリートにさしかかり、恍惚とした気持ちになる。
「もんじゃストリート」と呼ばれている通りが、「もんじゃ屋」ばかりであるという当たり前のことが、
なにか奇跡的なことのように思える。
「もんじゃストリート」にあって、蕎麦屋やラーメン屋の暖簾をかかげている店の、
その選択にいたる経緯などを思ったりする。
ストリートもおもしろいが、横にはいった路地がなおいい。
古いポストやちょうちん、鉢のあふれる各々の勝手口には、生活の視線を感じる。
まあ、せっかくだからともんじゃとお好み焼きを食べる。
もんじゃは焼いてもらい、お好み焼きは自分で焼く。
こういうときうまくふるまって、上手に焼けるひとが、わたしの思うおとなだ。
いったいいつおとなになれるんだ。

もんじゃ屋を出てふらふらと、そういえばあの「月島の版元」が近くにあるのではないかと思いつく。
「月島の版元」には昨年からたいへんお世話になっている。
本があることや本を手にとること、本を買うことや本を売ること、そういった「本にかかわること」の、
いちばんはじめにあった楽しさを思い出させてくれるのが、この「月島の版元」である。
そして「月島の版元」のみなさんが、本当に面白い、すてきな人たちなのだ。
先日のイベントや、その打ち上げのことを思い出していたら、いつのまにかお土産のお煎餅などを買い、
にやにやとエレベーターのボタンを押していた。あれれ。
こんにちは。



「月島の版元」は倉庫の中にある。
ウォーターフロントと呼ばれる土地で、もともとあった倉庫群がなくなり、その跡地に高層マンションが
つぎつぎと建てられるなかに残された、ここはもっとも古い倉庫であり、建築史的にも貴重な建物らしい、と、
Iさんが言う。
階下にはかつて高橋幸宏や山本耀司が関わっていたレーベルのスタジオがあったそうだ。
仕事のはかどりそうな職場だ。
板張りの床に高い天井。斜めについた窓。白い壁。船の中にいるみたい。
版元なんて来ることがないから(というかなんで来ちゃったんだっけ?)、ついきょろきょろと見てしまう。
ここからあの土星のひらめきがうまれているのだ。
そういえばここは海をゆく船というより、宇宙船のようだ。

Iさんはリサイクル紙の裏に、「月島古書店マップ」を書いてくれた。
壁いっぱいの本棚と本棚いっぱいの本。
なにか尋ねるたびにIさんが走って部屋を出て行き、貴重な資料を持ってきてくださるのが申し訳なく、
またおかしかった。
Mさんが「ぜったいに彼は持って帰れない自分の本の置き場にしている」と呟く。
とつぜんお訪ねしてしまったというのに、おふたりともにこにこと競うように、興味深いお話を
たくさんしてくださった。

「月島の版元」さんと、一緒に仕事をするのは楽しい。
大変なことだってたくさんあるけれど、終わってみれば先日も本当に楽しかった。
また、いつか一緒にフェアやイベントをやりたいと、本当はたぶんそれを伝えたかったのだった。
それを伝えたかったのに伝えることもなく、お茶まで出してもらって、よくわからない闖入者のまま、
宇宙船をあとにした。
でも、楽しかった。
こういった自分でも予想がつかないような、ほとんどハプニングみたいな行動が実は大好きだ。
しかし、訪ねられたほうはご迷惑だったことだろう。
Mさん、Iさん、ありがとうございました、と届くかわからないけれど地球からお礼を言ってみる。

Iさん手書きの「月島古書店マップ」を見ながらたどりついた、掘り出し物があるという
門前仲町のブックオフでは、いい絵本が良心的な値段で売っていたので大量に購入。
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by mayukoism | 2009-05-20 01:08 | 見たもの