乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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高峰秀子の太腿

ドトールで、以前勤務していた支店の同僚に目撃されたらしく、あなたは阿呆ではないか、
という類のメールを数人からいただく。

以前の勤務先のちかくには、いわゆる「ランチ」を出すような高級なお店しかなく、
そこでもわたしはもっぱら、ガード下のドトールにかよいつめていた。
高架を山手線がとおると、店内は騒音につつまれて、人々の動きがとまる。
喫煙しないのだけど、たいてい煙草くさい制服で勤務にもどるので、
「実はヘビースモーカー説」が一部に流れた。
異動するころ、ようやく分煙された。
お別れのとき、お世話になった同僚たちへのお礼として、品物といっしょに
ドトールのコーヒーチケットを一枚ずつつけた。
高架下のドトールのカウンターでいろんな本を読んで、いろんな人とすれ違って、
そのころたくさんの短歌を詠んだ。

一時間ぽっちしかない休憩で、ほんとうにみんなそんなに食事する店を選ぶのだろうか。
選ぶひまがあったら、はやく読みかけの本の世界へ行きたい。
そして、先立つものもないから長居のできるドトールへ行く。それだけなんだけど、
たしかにいい加減クロックムッシュにも飽きたな。
どうしようもないです。

休日。
成瀬巳喜男の『浮雲』をDVDにて鑑賞。
ああ、なんてだめなんだろう。男と女って。
富岡のずるさは途中で思わず笑ってしまうほどだったけれど、ゆき子の堕ち方はややいたかった。
ただ目の前の人を信じちゃっただけなのにねえ、と思いながらしみじみと観た。
でもきっと、この映画は笑いとばしちゃうのがいちばん正しいような気がする。
まちがいなく富岡は島でも、てごろな相手を見つけることだろう。
『浮雲』が成瀬の頂点というような評価をされている、といくつかネットの記事を見たけれど、
自分が観た数すくない成瀬作品のなかではそれほど「頂点」という感じはしなかった。
なんていうとほんとうの映画好きの人々に、ものすごくつっこまれそうでおそろしいけれど、
たとえば、いっさいゆるみのない構図と、その画に過不足なくよりそううつくしい女たちの
物語を描いた『流れる』のほうに、わたしはどちらかというと凄みを感じた。
ただ『浮雲』がものすごく印象にのこったことはまちがいないです。
成瀬巳喜男、もっと観てみたい。

そのあと知人が流した木下恵介『カルメン故郷に帰る』では、「ゆき子」が「カルメン」となって、
頭に羽根をつけ、山の中で踊りまくっていた。
ほどよく肉のついた太腿がすてきだった。
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by mayukoism | 2009-05-15 02:11 | 見たもの