乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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Trust  me

ハル・ハートリー監督『トラスト・ミー』(1991年)をVHSにて鑑賞。

大学の友人がこの映画をふくむ「ハル・ハートリー三部作」について語っていたのを思い出し、手にとる。
友人が語っていた内容は、はっきり言ってすべて記憶からぬけおちている。
ただ、学生生活4年間をとおして、喜怒哀楽を表現することに長けているとは言いがたかった彼が、
「調布の映画館でひとりでこれを観て泣いた」というそれだけのことを強烈におぼえていた。
どうしてこれを観たいのか、問われてなんと説明したらいいのかわからなかったし、そもそも
どんな映画だったのかもまったく思い出せなかったが、観たいと思った。

16歳のマリアは妊娠していることを家族に告げる。
激怒する父親に平手打ちをくらわせて家を出て行ったことから、この少女の物語は小さな町の中で
大きくうねりはじめる。
エイドリアン・シェリー演じるマリアという少女の存在感、カラフルに塗りたくってよれてしまった小さな
画用紙のような、細い身体から目をはなせない。
マーティン・ドノバン演じるマシューはテレビ修理の仕事が嫌でたまらない。どこを見ているのかよく
わからないうつろな目がマリアを見るとき、恋人のような、親のような、先生のような、さまざまな
表情がいりまじったどうとも表しがたい情愛の視線になるのを、とても色っぽいと思って観ていた。

印象としてはジム・ジャームッシュから洒落っ気を排したような、スマートだけどごつごつした感じ。
そのごつごつと枠をはみ出す感じが非常によかった。
悲劇的な感じはなく、ほどほどに軽いユーモアが全編にあるのもいい。
マリアもマシューも、ここに出てくる登場人物はみななにかをはみ出している。はみ出したことですれちがう。
はみ出した場所からマリアがあっさりと言う。
「Trust me.」
わたしを信じて。
なんということもなく過ぎていくけれど、この場面がこの映画のひとつの頂点だ。

彼はいったいどこで泣いたのだろうか。



太陽の味のする人参をごちそうになる。
土の味のする人参はなんども食べたけれど、太陽の味のする人参ははじめてだ。
ていねいに細切りされた人参は、さきさきと、噛めばかむほどあまくなる。
ごちそうさまでした。



『颱風見舞』(井上靖)
『光る道』(檀一雄)
『空白の青春』(有馬頼義)
『赤猪子物語』(有吉佐和子)
『夫のしない』(川端康成)

以上の短篇を休憩中に一気に読む。
『空白の青春』で、「ソワサン・ヌーフ」という単語をはじめて知った。フランス語。
これをSと略して日記に書くのですよ。
この小説に付いている色川武大の解説がまたいい。
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by mayukoism | 2009-05-08 02:02 | 生活