乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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わたしのラジオ・デイズ

手のひらにのせるとほどよくおもく、7この銀色のスイッチのついたちいさな四角い機械、
それがわたしのポケットラジオです。

ある日、ふるくなったラジオを知人がはい、とくれました。
周波数表の予備がなかったので、携帯電話で撮影したものを保存してありますが、
聴く放送局はふたつだけ、NHK第一(1のボタン)とTBSラジオ(4のボタン)のみです。
ごくたまに、音だけほしいときはAFN(3のボタン)を流すこともあります。FMは聴きません。

ポケットラジオがこの部屋に来てから、テレビをつけることがほんとうに減りました。
ひとりの部屋にはひとりの沈黙が否応なくつもってゆきます。
充満していく沈黙をただうっとうしいと思ってしまうことがあるのです。
うっとうしさをごまかすためにテレビをつけると、ぼんやりした頭のぼんやりとした中身が、
にぎやかな画面にどんどんと吸いこまれて、いつのまにか自分がいないと思うことがあります。
そのままぼんやりと、空が白んでしまうこともあります。

ラジオを聴くようになってから、そのような夜はだいぶ減りました。
ラジオはわたしと夜のあいだにうまいぐあいにはさまって、邪魔することも侵すこともありません。
夜ならNHK第一を聴きます。1977年初夏の諸橋轍次の声が流れたりします。
たまにはTBSラジオも聴きます。伊集院光の番組を聴いて「田代さやか」を検索したりもします。
おおきくてやわらかそうな胸でした。

昼なら「ストリーム」、武田一顕記者が好きです。
自分の休日である火曜と水曜しか聴けないのが残念です。
しかもせっかく聴きはじめたというのに、来週で終わってしまいます。
8年つづいたなかの最後の3ヶ月くらいしか聴けませんでした。無念。
最終週で、町山智浩と勝谷誠彦が何をしゃべってくれるのか今から楽しみです。

土曜の夜は「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」です。
宇多丸、すばらしく話がうまい。クレバーな人です。こういう人にあこがれる。
全身をアンテナにして、ラジオに耳をかたむけます。
ここで紹介されていた本が売れたとき、思わず「宇多丸の…?」と話しかけてしまったことがあります。
こちらは3時間番組に拡大するそうです。よかった。

休日、終わってしまう「ストリーム」が名残おしく、はじめてラジオをポケットに入れて部屋を出ました。
ふるいラジオなので付属の巻き取りイヤホンでは聴けず、もっぱら家で聴いていたのですが、
先日、知人が使わないイヤホンをはい、とくれました。
イヤホンを差し込んで、いつもは動かさないスイッチをあげると、歩きながら「ストリーム」を
聴くことができました。

その夜、少々飲みすぎて終電をのがし、徒歩で部屋に向かっていた道すがら、
ふとポケットの厚みに触れてラジオのことを思い出し、うきうきと聴いてみることにしました。
ワインと日本酒はてきめんに酔いますなあ、とほがらかな気分になりながら、
イヤホンで爆笑問題のふたりのかけあいをずっと聴いていました。
聴きながら、ほんとうにほしいものがわかる人になりたいと思いました。
月はどこにも出ていませんでした。
酔った目で見る夜はまるいビーズのようになって、足元にひしめきあっていました。
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by mayukoism | 2009-03-20 01:28 | 生活