乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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たまには日記らしく、いちにちの出来事を書いてみる。

遅番なので9時半に起床。
起床と言っても目をあけただけで、布団のなかから外気の冷たさをはかり、
無理だわー、起きられないわー、としばらくくねくねする。
あ、そういえば図書貸出センターに、予約した本が入荷していたのだった、と
思い出し布団から出る。
あっという間に出社さえもぎりぎりの時刻となり、それでも走って駅とは反対の
貸出コーナーまで行く。
借りたのはこれ。

『どこから行っても遠い町』(新潮社/川上弘美著)

川上弘美も買わなくなってしまった。パターンが完全にできあがってしまい、
何を読んでも初期作品のようにうらぎられることがない。
ちょっと特徴のあるかしこい主婦がだれかとセックスしたりしなかったり、
離婚したりしなかったり、という話はもういい。
でも一応は読む。
ふたたび走って駅まで。

木曜日はミーティングばかりで、そのうちのひとつにわたしも出る。
そういえば、浅生ハルミンさんにサイン本を作っていただいたとき、
パソコンに表示されていたスケジュールを見て、
「このOさん(わたし)の名前の前についている○○ってなんですか」と尋ねられ、
えーとそれは朝礼をやったり、シフトの管理をする人の名称で、たいへん面倒なので
いまもっともほっぽりなげたい仕事のうちのひとつです、と説明したのだが、
今日はその会議の日。課題問題難題をひたすらこねくりまわして終わる。

夕方、ドトールで遅い昼休憩。
最近は新しくなったクロックムッシュを食べている。ホットティーをあわせて500円。
もちろん1枚お得なコーヒーチケットを使う。
いま読んでいるのはこれ。

『おじいさんの綴方 河骨 立冬』(講談社学術文庫/木山捷平著)

生活や土地、そこにそのとき流れていた時間、にただ触れる。ただ触れたままじっとして、
撫でることもなければ摘みとることもない。
そこで人が暮している、ということ。
これは物語というよりも小説と呼びたい。物語という言葉がもつ仰々しさは、この本には不要だ。
ひっそりとたしかに入りこんでいく。
人間だなあ、と意味もなく思う。

職場にもどってまたミーティング。
さきほどの会議で話したことが、別の面倒な話にすりかわっている。
すいません、サイボーグではないので、そんなにいっぺんにはできません、と言いたいのを
ぐっとこらえて、聞く。
ベルが鳴ってレジに向かうと、カウンターに本の山がいくつもできている。
ベテランのアルバイトさんが、えらいことになりました、と言う。
全集をふたつお買い上げ、そしてこの山の中からいずれも3万円以下になるように領収証を、
書名入りで切ること。ははあ、この時期よくあることです。お買い上げありがとうございます。
あなたこっち、わたしこっち、あなたレジ、とふりわけてとりかかる。

ちょうどアルバイトの入れ替わりがはげしい時期なので、毎日だれかしら新人がレジにいる。
早くいろんなことを教えてあげたいのだが、まったくそちらに手が廻らない。
今日はごめん、研修できないな、と言うと、新人二人ともにこやかに、いいですよ、こちらこそ
お忙しいのにすみません、と言ってくれた。いい子たちだ。ありがとう。
どのフロアに行っても苦労しないように、ほんとうにきちんと教えてあげなければ、と思う。
ほんとうは、教えることは大の苦手なのだけれど。

そのまま閉店となる。

納品がほとんど終わっていない。22時半まで売場でひたすら配架。
だれもいない売場で、ぴこぴこ言う機械を持ちながら本を入れ替えるのは嫌いではないのだ。
ぼんやりと帰宅して、お風呂に湯をはりながら、これを読む。

『猫座の女の生活と意見』(晶文社/浅生ハルミン著)

ハルミンさんみたいなおともだちが、学生のときにいたらと、「パンツ」の話を読んで思う。

小学校4年生のとき仲がよかったナホコちゃんに、
「スキャンティーすき?」
と尋ねられて、スキャンティーがなんのことだかまったくわからなかったわたしは、
そのひびきからなにか得体の知れないふざけたものを感じて、
「す、すきじゃない」
と答えたところ、ごめん、誕生日プレゼントスキャンティーにしちゃった、と後日告白され、
もらった包みを開けてみると、そこにはピンク色のレースのパンツが入っていた。
そのときはレースのパンツがどうこういうより、知らないくせにきらいと発言して
ナホコちゃんを恐縮させてしまったことで頭がいっぱいだったけど、
今思うと、ナホコちゃんおとなだった。レースのパンツ…

男の子でもないけれど、女の子一直線でもない、そんな猫座の女の子の一人暮らしを
ハルミンさんはどんぴしゃと表現していて、読んでいてゆるゆるとしあわせな気分になる。
自分がうごかなければ何の物音もしないひとりの部屋で、この本があればひとりじゃないわ、
ひとりじゃないってすてきなことね、と勝手に心づよく思う。

いちにちの終わり、同時に電話をかけあうという事件が発生しておののく。
かけようと思って通話ボタンを押したら電話が鳴ったのだった。びっくりした。
先週、手ひどいクレームを受けてからずっと続いていた頭痛がやっと治る。

これは、そんなどこにでもあるようないちにちの出来事である。
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by mayukoism | 2009-02-27 02:15 | 生活