乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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いままでとこれから

長く生きるということが、大切と思える人たちが増えることだといいと思う。
満員電車で目を閉じて、くたびれた体の深さを少しはかる。

駅が改修されるよ、南口(ナンコウ、と呼んでいた)の伝言板も今はないけどね、と
大学時代の友人(もうすぐ虹もとい二児の父)に、「改修工事のお知らせ」写真付きメールを送る。
日にちをおいて返ってきたメールは、なんということもない内容だ。
17日が予定日、生まれたら嫁が実家に帰るからその間に飲もう、というもの。

こういうとき、今までに会った素直に好きだと思える人たちの顔を、
ひとりひとり思いうかべて頭の中で七ならべのように並べるくせがある。
率直に好きだと言えるひとは、比べないけどたぶん少ない。
好きな人同士、会ったことのある人もいればない人もいる。
大切、のモードもさまざまである。

ひとりでいることがいっとう好きだった。
余計な荷物を背負いたくないからとりあえず人当たりをよくしているだけで、
ひとりでいることが本当だと思っていたし、いまも若干思っています。

だから、メールを送ると返ってくるというこの単純な運動が奇跡のように思える。
もう忘れているかもしれない、とぼんやり思いながらメールを送ると、そうやって返ってくるから、
ああ、どうやらまだおぼえてくれているらしいとわかる。
わかるとそのことがほんとうにうれしい。
うれしくて、好きな人の顔をひとつひとつ並べる。ひとりが好きだったのに、いつのまにか
こんなに好きな人が増えている。

なりゆきで知らない人ばかりの飲み会に参加するはめになってしまって、
そういうときはとりあえず飲んで、テンションをその場のそれにゼロから作り上げるのだ。
そうするともう自分がだれなんだかさっぱりわからなくなって、
ほんとうは早く津村記久子の受賞作の感想なんかも考えたいのに、
だってあれはぜったいに書かなくてはいけない、ここから文学のモードが少し変わるかも
知れないから、でもそんなの別にだれにたのまれたわけでもないのに、と思ったそのとき
終電が急停車して、ひとびとがなだれてわずかにできた空間で息を吸うと、
去年のいまごろはまだ生きていた犬のシャンプーの匂いがふとした。
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by mayukoism | 2009-02-14 01:27 | 生活