乃木繭子 本のある風景など。http://twitter.com/komayuko


by mayukoism
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日常と呼ぶもののとりとめのなさについて

爪を切る音が、背後でしている。
はじける音がおもくひびくので、足の爪を切っているのかと思えば、
手の爪だった。
男のひとの爪を素足でふむ場面を、向田邦子がなにかどこかで
書いていたな、とおもう。
昨晩読み終えた、『きんぎょの夢』(文春文庫/向田邦子原作・中野玲子小説)所収の
「母の贈物」にも「夜、爪切ると、親の死に目にあえないわよ」という台詞が出てくる。
実家にいたころ、同じように言われた。けれども切らないのは母親だけで、父も妹もわたしも
夜中にぱちぱちやっていた。

爪は生きているか、死んでいるか。爪を切ると、爪の悲鳴が聞こえるか。
マニキュアは爪の窒息。めったにしない。ペディキュアは夏だけときどきする。
キャンバスが小さく、甘皮もそのままなので、ひょろひょろはみ出す。
それでも靴下を脱いだとき色が見えるとなんだかはっとする。
ぬったのは自分なのに、イライラのの衣良のような気分になる。
(「ヌードよりも露骨よ!」『バナナブレッドのプディング』大島弓子著)

向田ドラマの小説化シリーズは、別人の文章だから、とほとんど読んでいないのだが、
たまたま手にとって読んだ『きんぎょの夢』はそれなりにおもしろかった。
文章がどうこう、というより、やはりドラマが観たいと思わせる。
借りてもいいのだが、たぶん欲しくなるだろう。少しずつ集めてみようか。

朝の9時を過ぎるとこの部屋はゆれはじめる。すぐそばで工事がはじまったのだ。
そんな知らせきてたかな、と思いながら今朝は意地でもふとんから出なかった。
はやく寝なければな、と思いながらいつも起きている。
なにをするでもなく起きている。
夜の空は黒ではなく、ふかいふかい紺色だ。
今日は、じっと見ていると、視線のかたちにすきとおる夜だ。
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by mayukoism | 2009-02-03 03:44 | 生活